「また、同じ夢を見ていた」(住野よる)を読んだ
2019 #2
高2になる息子から「これ、いいよ」と手渡された、表紙もなくなったボロボロの文庫本。
学校に行けない時期を過ごしている間にきっと読んだのだろう。桐生くんが物語の最後で、「学校に行く」と決心したとき、奈ノ花とのやりとりを聞いていた母親の言葉に胸がつまった。
小説を読むことは素晴らし体験なんだよ、ずっと息子や娘にそう伝えてあげたかった。でも、いざ親になるとなかなかそういうメッセージを本当の意味で伝えてあげるのは難しいことに葛藤があった。でもこの本を読み、子供達は自分なりのペースでその素晴らしさに気づいてくれていたんだ思うと心から嬉しかった。
パラレルワールド的な世界観が、まるで当たり前のように、こうして自然と心に染み込む形で世界にあらわれているということ、そのことにも、なんだかうれしかったなぁ。
「物語」という形には魂が宿る。大人になると「おもてづら」の良いビジネス書に目が行きがちだけれども、実はビジネスも全部人間がおこなっていること。魂の理解なく、ビジネスもないでしょう、心の底にいつも感じてる、そんなバスビートを弾く琴線にも触れた一冊でした。
人それぞれの登山道、僕はもっと「物語」を読もう。
考えてみたら、それが原点だったじゃないか。